シューベルトの伝記をたどってみると、1818年7-11月と 1824年5-10月頃、再度に渡って貴族の別荘に滞在したと記されている。
そこはエステルハージ伯爵邸 夏の館であり、ハンガリー、ツエレス呼ばれた村であった。 現在のチェコスロバキアのジェリエゾフツエあたりとされている。
この館で伯爵の令嬢にピアノを教えながら、作曲もしていた。作品のうちアルペジョーネソナタD821の着想がうまれたようだ。

Arpeggione, Stauffer Vienna 1832

アルペジョーネソナタD821にはなぜか牧歌的で民謡のようなフレーズがしてならない。この疑問はいままでずっとあった。民謡のイメージがするのは、滞在した田舎の村で聴いたハンガリー民謡がヒントになっているとわたしは思う。
ファンダンゴのリズム、反復のリズムとコード進行で、ギターの奏法に合致して居るイメージである。
どこか水車の回る一定のリズムに似ているし、または馬で遠出したり、馬車で揺られるシーンも想像する。
あるいは地方競馬のギロック的な早馬の場面もイメージできるのだ。

ちょうど、「鱒」を作曲した背景、モチーフにも類似する牧歌的な風景描写も、アルペジョーネソナタD821と重ね合わせると、別荘暮らしの長閑さを想像する。

2楽章のゆったり感は、それこそギター製作者のシュタウファの流れをくむギター奏法をベースにしいるようだ。明らかにこの奏法は、チェロ奏者を意識した発想ではないのでは、とも感じられる。

3楽章に現れるリズム 反復の妙味としての心地よさ、メロディ まったりとながれる ハンガリーの丘陵イメージ、ハーモニー とともにアルペジオの半音ずらすコード進行 などは ギターの素朴さが伝わってくる。

ファンダンゴは、ボッケリーニなどの作品がいくつか有るが、時代背景や地方民謡に似たフレーズはシューベルトのこのソナタに共通する再現ではないかと思う。

ボヘミア民謡は単純な発想、シンプルなリズム、くちずさめるメロディなど田舎の地歌は、地元ならではの牧歌的なシーンを巡らせるにはいいサウンド素材になっている。
楽章のいたるところにちりばめられたフレーズはアルペジョーネソナタD821にも存在するかもしれないとずっとおもっていた。
当時 滞在した 侯爵の別荘付近に存在していたボヘミアン民謡に触発されたのではないか、と直感したわけである。

あくまで私見であり、譜面をつぶさに楽理研究をしていないものの、こうした大胆な仮説をたてて、再度アルペジョーネソナタD821を客観評価するのもひとつの味わいかもしれない。

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http://www.youtube.com/watch?v=AVYD46mPp8c&list=HL1366387057

自作自演のアルペジョーネ。ピッチカート、ボーイング。

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